2020年8月18日火曜日

Fortnite騒動について(アップルvsエピック訴訟)

 人気ゲームFortniteがAppleとGoogleのアプリストアから外されたり、
開発者アカウントを剥奪されそうだったり、何かと話題になっているが
問題の本質は「比重」なのだろう。
 つまり「アプリ市場」という大きな枠で見たときの、市場への貢献度の「比重」。
 AppleやGoogleのアプリストはものすごくよいアプリ配信プラットフォームを
提供してくれており、個人や中小企業など販路を持っていなくても、
アプリを開発するだけで、あとは勝手に全世界のユーザに提供できる
恩恵にあやかれるのである。
 片やFortniteとしては、十分大きなユーザを獲得し、開発にも膨大な
リソースを費やしているにも関わらず、無条件で3割もの利益を吸い上げ
られる仕組みに納得がいかなくなってきたのだろう。
 おそらく結果としては、最初のAppleなりGoogleなりのアプリストアに
配信する時点で、契約として上記内容も「飲んだ」上でアプリ開発しているので
Fortnite側の勝算は低く、そんなことは当のEpicも熟知した上で、
敢えて勝負を挑んで、世界にその理不尽を問いかけたという点で
意味のあるものにしようとしているのだろう。
 
 Apple、Googleとしても、Epicが本気でFortniteユーザをつれて離脱されたのでは
困るだろうから、これを機に「比重」を考慮するポリシーに変更を検討するか
どうか、が今後の注目ポイントである。
 ある意味、それだけの強力なアプリ提供者が育ったため、いよいよ
表層に出てきた問題といったところだろう。
 「アプリ市場」で見たときの貢献者は、アプリストア提供者と
実際のアプリを作ってる者であり、前者はある意味、仕組みさえできれば
あとはほっといても勝手に金が入る仕組みである。
 逆にアプリ開発者はより多くのユーザを獲得するため、恒常的にリソースを
費やしていかなければならない。
 ある規模になると、
  アプリストアで得られる恩恵 < アプリ開発者のコスト
の関係になり、こうなってくるとアプリ開発者たちは「こんなに必死こいて
アプリを作ってるのになんでこんなに利益を巻き上げられなければ
ならないのか?あちらは何もしてないのに。」ということになってくるわけである。
たしかに、自社のために働いているはずが、なぜかストア提供者を
慈善事業的に養ってあげてる感覚になるのだろう。
 または、恩恵を与えてくれた親なので、成人して養うのは良かったが、
親を遥かに凌ぐようになったのにも関わらず、最初に約束した3割負担と
いうのがどこまでも付きまとうので、「親だからって、いい加減に
してくれ!」といったほうが的を得るだろうか?
 たしかに、利益の規模を度外視して3割の巻き上げでは大きくなればなるほど
アプリ開発者側は割に合うまい。
 上記分岐点を境にして、巻き上げ比率引き下げをストア提供側が
検討してくれるかどうか、今後の展開が面白い。
 いずれにしても、これまでもそうであったように、「アプリ市場」などの
全体規模で考えた場合は、それぞれWin-Winの関係に落ち着いていくのであろう。
ーーー
 Win-Winになるかどうかは、問題解決の当事者が問題の本質を
高所から見ることができるかどうかが前提であったりするのだが。
 なにやら開発者アカウントがUnreal Engineまで影響して、サードパーティが
離れていくとか、問題を複雑化しているが大丈夫だろうか?
 過去にも問題の本質よりも、目先の自分の正当性だけ主張して
泥沼化して、結局市場も発展しなくてlose-loseになってしまった失敗事例は
むしろ彼らのほうがよりよく知っているであろうから、ちゃんと
問題の本質を理解して対応してくれるであろう。
 (lose-loseにしてしまった当事者は、社内では「よくぞ我が社の利益を
守った」と言ってもらえるであろうが、業界全体や世間としては、
「あー、はい、そうですか。それはよかったですね」と見られること。)

ーーー
追記
裁判所も想定通りの方向となった。現状では双方譲らない姿勢。
ふと思ったのだが、この「お祭り騒ぎ」も「市場全体」からみれば
多くの人の関心を引くという意味では効果抜群なわけであって、
一旦お祭りが始まったのであれば、なるべく熱を保って長引いた
ほうがよいわけである。
思ったのは、双方ともそれくらいまではわかってるはずで、
つまりそこまで「想定」されてお祭りをしているのではないだろうか?
ということ。(そうなると裁判所の見方も変わってきてしまうだろう。
どうかうまいことやってもらいたいものだ。)

ーーー
さて、AppleもGoogleも年間収益100万ドル以下のデベロッパーに対しては、
30%の手数料を15%に引き下げた。先手を打った形だろう。
「デベロッパーのことを思っていろいろやってるのですよ、文句ないでしょう」と。

しかし上記の「市場への貢献割合」の考え方からするとむしろ逆に
貢献度の低いデベロッパーへの救済策である。
これは富裕層ほど高い税率の考えなのだろうか。
しかしそんなことは行政がやることであってEpicが提唱している問題は
そうではなくて、やはり「市場への貢献割合」の問題であろう。
小規模デベロッパーの30%の手数料を15%に引き下げはむしろ火に油を注ぐ
格好になってるが、大丈夫だろうか?

最初に戻って、これこそが「先手を打った」意味なのだろう。
富裕層からはとことん取るということで、とことんやりあうというわけですね。
おそろしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿